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内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯損傷

交通事故といえば、車同士の追突事故を思い浮かべる方が多いと思いますが、むろん、車同士だけでなく、車と歩行者、車とバイク、車と自転車の事故も多くあります。

また、交通事故が発生しやすい場所としては、令和2年(2020年)交通安全白書によると、

  1. 交差点内 1,076件
  2. 一般道路(交差点、カーブ、トンネル、踏切等を除いた道路形状)1,026件
  3. カーブ 439件
  4. 交差点付近 374件
  5. 踏切・その他 135件
  6. トンネル・橋 83件

となっています。

今回は、交差点内の車と自転車の実例をあげていきます。

〈実例〉

被害者:40歳・男性、自転車を走行中にT字路の交差点にさしかかったところ、左の道路から車が右折しようとゆっくり出てきました。

このまま車が出てくるかもしれないと思い、自転車の方は止まれるぐらいのスピードに減速しましたが、車の方も、右折したすぐ先に信号があり、その信号がちょうど赤で、その他の車が数台ほど停車して道路が詰まっている状態だった為、一旦、その場で止まっていました。

それを見て自転車の方はそのまま直進し、その止まっていた車の前を通り過ぎようとした瞬間、ちょうど信号が青に変わったのか車が急発進、その自転車の後輪をかすめた為、自転車はハンドルのコントロールを失い、左横に倒れながら1~2mほど滑っていきました。

しかし、自転車の男性はすぐに立ち上がり、車の運転手に「大丈夫ですか?警察に電話しますか?」と声をかけられましたが、膝の切り傷ぐらいで、ちょうど通勤時の急いでいる時だったため、「大丈夫です」と答えて、何事もなかったように、その場を後にしました。

実は、この被害者の男性は私で、1年ほど前の実体験でした。

何事もなかったと書きましたが、実は「とりあえず、膝の切り傷ぐらいだから職場に急いで行こう」と、自転車のペダルを踏んだ瞬間、左膝に激痛が走っていました。

おそらく、自転車が横に倒れる時に左足を着いて、そのまま滑って行ったため、膝関節が外側に強制的に捻じれた状態になっていたと考えられます。

「やってしまった」と思った瞬間から、段々と痛みを感じるようになり、最初は痛みがなかったはずの歩行も痛くて左足をつくのが辛くなりました。

膝関節に腫脹がある、曲げ伸ばしする時の痛みがある、膝を外側に反らす動き(外反ストレステスト)をすると痛みがある、あきらかな内側側副靭帯損傷の症状でした。

〈治療〉

この外反ストレステストで動揺性が大きければ、手術を考えなければいけませんが、幸いにも今回は、そこまで動揺性は確認できなかったため、保存療法を行いました。

まず、腫脹による炎症が見られましたので、患部へのアイシング、電気療法。そして膝関節に負荷をかけないように包帯、あるいは固定具により関節を固定します。

また血流をよくするためにも、動かせる範囲での膝の曲げ伸ばし運動を行いました。治療期間としては、損傷が酷い場合は8週間以上かかる場合がありますが、程度が軽ければ1~2週間ほどで痛みを感じずに歩行ができるようになります。

ここで、痛みがなくなってきた時の注意が必要です。「痛みがないので、もう治療は必要ないや」と思って、治療を途中で止めないようにしましょう。痛みをかばってた膝関節の曲げ伸ばしの動きが本来の正しい動きではなくなっている時があります。それが何年も続いてしまうと、今度は膝の半月板を損傷してしまうことがあります。治療期間のことは先生と相談して、治療を終えましょう。

今回は程度が軽かったので1週間ほどで痛みがほとんどなくなり、予後も良好でした。

〈まとめ〉

自分を差し置いて言いますが、交通事故にあった時は、どんなに痛みを感じなくても、必ず警察に連絡すること、また、病院を受診しましょう。

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